|口腔カンジタ症|唾液チェックからはじめるヘルスケア|
01 体の中のカビ
私たちの体には、たくさんの微生物が棲(す)んでおり、カビ(真菌類)もそのひとつです。腸や皮膚に棲んでいる微生物はバランスを保って、外からのバイ菌が入り込めないようにしたり、体に必要な栄養分を補給するなど、私たちの健康維持に役立っています。しかし、ひとたび病気などで体力が低下して免疫力が極端に低下すると、微生物間のバランスが崩れ、カビやバイ菌が以上に増殖して病原性を発揮するようになります。
02 口にもカビがはえる 口の中に「白い斑点」や「赤い斑点」がありませんか?
体に悪さをする病原性のカビに「カンジタ菌」があります。
最近、カンジタ菌が原因で起こる口内炎、口腔カンジタ症が増えています。
口腔カンジタ症は、おもに頬の内側や粘膜や舌、口蓋(喉の手前部分)、歯茎、唇などが赤くただれたり、白いブツブツや赤い斑点、白い苔(コケ)状の薄皮のようなものができます。また、喉の違和感や痛みで食事が十分にとれず、体力が低下し、他の病気になりやすくなります。
03 口腔カンジタ症のさまざまな症状
慢性肥厚性カンジタ症 |
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急性萎縮性(紅斑性)
カンジタ症 |
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白い斑点ができる。こすってもはがれない。 |
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赤い斑点ができ、しみて痛い。 |
口腔カンジタ症に伴う口角炎 |
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義歯性口内炎
(慢性萎縮性カンジタ症) |
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口の角が赤く荒れ、切れて痛む。 |
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義歯の下の粘膜が赤くなり、時にただれる。 |
広範囲な急性偽膜性
カンジタ症 |
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口の粘膜全体に苔状の白い膜ができる。こすると容易にはがれる。 |
04 口腔カンジタ症になりやすい人
免疫力が低下した人 |
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高齢になって身体が虚弱になった方や構成物質を長期にわたって内服している方、糖尿病、脳梗塞、痴ほう、白血病、がんなどを患っている方は免疫力が低下していますので、カンジタ菌に感染しやすくなります。 |
抵抗力が未発達な乳幼児 |
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赤ちゃんや小さいお子さんは、バイ菌への抵抗力が未発達なので、健康な体でも感染します。
出産の時にお母さんの体内から感染したり、お母さんの唾液や哺乳瓶からも感染したりすることがあります。
ひどくなると哺乳量や食事が減ることがあります。 |
唾液の分泌量が少ない人 |
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唾液は口の中を清潔に保ち、バイ菌に抵抗する働きがあります。唾液が少なくなるとカンジタ菌にも感染しやすくなります。高齢になると、唾液が少なくなり口の中が乾く「口腔乾燥症」の人が増えてきます。 |
また、経腸栄養などで食事ができないことからそしゃく回数が減ったり、経鼻カテーテルで口呼吸になっている場合も唾液の分泌量が少なくなり、口腔カンジタ症の危険が高まります。 |
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自分で口腔ケアが難しい人 |
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寝たきりの方や痴ほうの方は、自分で口の中を清浄することが難しいため、カンジタ菌に感染しやすくなります。
さらに、義歯(入れ歯)を入れたままにしていると義歯性口内炎になりやすくなります。 |
吸入ステロイド薬を長期に投与している人 |
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喘息で長期にわたってステロイド吸入をしている人は、喉にステロイド薬が沈着してカンジタ菌が付着しやすくなります。ステロイド薬を洗い流すためにも、吸入後にうがいと歯磨きをしましょう。また吸入補助器を使うと、喉にステロイドが沈着しにくくなります。 |
5 口腔カンジタ症にならないために
正しい口腔ケアを心がけましょう
歯磨き、うがいをする |
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口の中は、温かく湿ったところが好きなカンジタ菌の温床です。
また、歯垢は微生物のかたまりです。日頃からうがいや歯磨きをきちんとして、口の中を清潔に保つことが大切です。 |
食事をきちんととる |
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食事は栄養を補給するだけでなく、だ液を分泌させて口の中を清潔な状態に保つ役割があります。
食事の量や回数が少ないお年寄りや、寝たきりの方、不規則な食生活の方は特に気をつけてください。 |
身体の不自由な方にはまわりで手助けをする |
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寝たきりの方や痴ほうの方はご自分で口腔ケアを十分にすることができないので、家族やまわりの方で気にかけて、まめにケアしてあげましょう。 |
義歯は清潔に |
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義歯(入れ歯)をしている方は、義歯をつねに清潔に保つように心がけましょう。
就寝時ははずして休みましょう。 |
専門薬による早めの治療をおすすめします |
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口腔カンジタ症は放っておくと消火器や呼吸器に広がる場合があるので、早めの治療が重要です。
悪化しないうちに医師、または歯科医師にご相談ください。治療薬には内服薬のほか、塗ったり、うがいをする専門のお薬があります。多くの場合は1週間程度で症状がおさまりますが、再発しやすい病気ですので、自己判断でお薬を中止しないようにしてください。 |
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